第62回 全国大会
  松尾信悟全国会長挨拶文

 本日は、全国各地より多くの同氏の参加を得て、第62回全日本同和会全国大会が開催されますことを皆さんとともにお慶び申し上げます。
 また、ご多忙中の中、関係機関の皆様にご臨席を賜り厚くお礼申し上げます。
 さて、同和問題は、わが国固有の人権問題であり、同和問題の解決を図るため、特別措置法に基づき、各般にわたる諸施策がおこなわれ、生活環境に関する整備は一定の成果を上げ、大きく改善されましたが、結婚や就職問題を中心とする心理的差別は、いまだ後を絶ちません。
 国は、同和問題の解決に向けた新たな取り組みの推進のため、平成28年12月16日に「部落差別の解消の推進に関する法律」を施行し、現在もなお部落差別が存在するということが明確化され、各自治体においても条例整備が進められました。
 「同和問題は人間の尊厳に基づく権利であって、いかなる関係においても尊重されるべきもの」とするならば、同和問題を未解決に放置することは断じて許されないことであり、早期に解決することが国の責務及び国民的課題と言われながらも真に国民的課題に至っておらず、最近では学術と称して地域が特定できる動画をインターネットにあげるなどの行為が後を絶ちません。
 このような行為はプライバシーを侵害し、差別を助長する行為で決して許されるものではなく、国において、人権救済のための機関の設置や包括的差別を禁止する法の整備が必要だと思います。
 近年では、親がわが子を虐待し、死亡させるという痛ましい事件や、新型コロナウイルス感染症による患者や医療従事者、その家族などに対する偏見や差別が起きており、このような差別や偏見を解消するには、一人ひとりの意識の変革及び施策を推進することが急務であります。
 国は、新型コロナウイルス感染症に起因する差別的取扱い等を防止するため、新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律を施行し、差別的取り扱いの防止に関する規定を設けました。
 我々、全日本同和会としましても法律の施行に伴い、人権問題として運動を展開していく所存です。
 全日本同和会は昭和35年の結成以来、今日まで「子らにはさせまいこの思い」をスローガンに運動を推進してまいりましたが、今後も創立の原点に立ち返り、襟を正し、自己の役割と使命感を深く自覚し「同胞一和」の精神をもって運動を継続していく所存です。
 最後に我々全日本同和会としましても、感染防止に努めるよう「新しい生活様式」を日常の生活に取り入れて活動を行い、1日も早く社会的、経済的に安定し、全ての人々が安心して暮らせる世の中に戻ることを祈念し、また、我々の命を懸命に守ってくださっている医療従事者の皆様方に対し、心より敬意を表しまして私の挨拶といたします。

                                                  令和4年5月18日